4月 23

初めての目医者さん

幼い頃から目が良く、40歳になった今でも視力1.5を維持している私は、これまで眼科や眼鏡屋というものに全く縁がありませんでした。
子供が小学校3年生のとき、学校の視力検査にひっかかり、眼科での診察を受けるように指示され、会社の同僚が勧めてくれたくれた町の眼科に初めて足を踏み入れました。
眼科というと、何をするにも目は見開いていなければいけない訳ですから、お医者さんにどんなことをされても目を背けるわけにはいきません。目に紙を差し込むとか、軟膏を入れるとか、光を当てるとか、おどろおどろしい情報を山ほど同僚から聞かされ、すっかり怖くなってしまいました。病院へ向かう道中、「どんなことをするの?痛いの?」と怖気づく子供に「大丈夫だよ、痛いことはしないよ、目薬をさしてくれるんじゃない?」と笑顔で答えながらも、実は私が一番怯えていました。
いよいよ名前を呼ばれ、検査室に入った子供は、穴の開いた箱のようなものを覗いたり、奇怪な映画に出てきそうな重々しい眼鏡をつけて視力を測ったりしていました。眼鏡のレンズを入れ替えている看護師さんの眉間にしわが入る様子が見えたので、これはさぞかし悪い結果を聞かされるのではとドキドキして診察を待ちました。
お医者さんは小柄な、優しそうなおじいさんでした。
開口一番、出てきた言葉は「あのねえ、見えてるよ」。
何が見えているのか分からなかった私たち親子は「えっ」と言ったまま黙ってしまいました。
短い沈黙ののち、まったく状況を分かっていない私たちの心情を察してくれた先生は、優しく話してくれました。
「あのねえ、お子さんの視力は悪くないよ。きっとね、学校の視力検査の時に使ってないほうの目をぎゅーっと閉じてしまったんだねぇ。そのあとに目を開いて検査したもんだから、ちゃんとみることができなかったんだね。小さいお子さんにはよくあることなんですよ。」
ものすごく緊張していたし、そんな診断結果がくるとは思ってなかったので、驚いた気持ちと、ほっとしたのとでテンションが少しおかしくなり、「そうだったんですか」と相槌を打つと同時に笑いが出てきてしまいました。
先生も微笑みながら、でも真面目なまなざしでお話を続けました。
「あのねえ、姿勢を正しくしないといけないよ。テレビを見るときも、本を読むときも、学校で授業を受けているときも。姿勢が悪いとどんどん目が悪くなっていくからね。背中を伸ばしてまっすぐするんだよ。」
先生に言われて、子供も神妙な顔して聞いていました。とてもありがたく感じたのを覚えています。今でも子供に「背中が曲がってるよ!目が悪くなるよ!」と声をかけるようにしています。

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